【過去振り返り3-①】邂逅・カサブランカ【2016-17シーズン】
激動の2016-17シーズン開幕
【Glacier Falls Summer Classic】
アメリカ夏のコンペ、出場選手がとても豪華。
〈SP〉
JGP用の構成。シーズン初っ端からこの完成度ですかうはぁ、ニースライド→FCSpすげぇ。初の歌詞入りプログラムですが迸る感情とサム・スミスの歌声が見事にマッチしています、あぁ〜〜〜ボーカルに乗せた贅沢なイーグル〜〜〜!!こんなたっぷり見せつけちゃっていいんですか!?ありがとうございます!!!!
〈FS〉
エルマーバーンスタインのJohnny Staccatoより、ハードボイルドな私立探偵兼ジャズピアニストらしいです。編曲はThinking of baby→Pursuit→Walk a lonely street→Greenwich village rumble→Staccato's theme
シニア版なのでChSqがあります、SPに比べるとまだまだ未完成なのかなという印象でした。アクセルの調子がすこぶる良くありませんがたけのこ3Lzは2本しっかり収穫、ニースライドからの3Fはジーマを連想させる。ジャズでも中々難しそうな曲の選択ですが音に合わせた動きが上手いですし振り付けも凝ってるのでシーズン後半になれば凄く格好いいプログラムになるんじゃないかなーと楽しみでした。前髪を後ろに撫で付ける振り付けがこんなに似合う15歳はそうそういない
【Golden West】
ネイサンファーストインパクト
〈SP〉
Glacier Fallsに続き高い完成度でSPは1位でした(80.25)このGolden WestはJGP初戦の一週間程前の筈ですがローカルコンペに出場してから日本へ行って調整してJGPとは…あの身体のどこにそれ程のエネルギーが詰まっているのか気になります。しかしここから地獄の様なハードスケジュール。
〈FS〉
FSはまだ滑りこなせていない感じ、いやまだJGPも始まってないので当然といえば当然ですがSPが既に出来上がっているので差が目立って見えます。後半3Lzの着氷が珍しく乱れてコンボが付けられませんでしたがその後のニースライド3Fで三連リカバリ。シンプルでスタイリッシュな新衣装はかなり好きでした、何気にベストの作りが凝っている。
この試合はとにかくネイサンが凄過ぎて、怪我からの復帰戦でまさか4Lzと4F装備してくるとは誰も思わないじゃないですか。クワド一辺倒の演技になって魅力が損なわれてしまうんじゃないかとかそれより怪我明けなのにそんな跳んで大丈夫なのとか色々心配しましたが前者は杞憂でしたね。『ネイサン事件です』を生み出した試合。
【JGP横浜】
祝 ヴィンセントさん初来日
〈SP〉
私はすげー選手に出会ってしまったらしい。全ての要素が美しく絶妙なバランス、昨季のSPは無機質な感じが特徴であり魅力でもありましたがこういった感情を押し出すプログラムの方が彼の性とスケートに合っているんでしょうね。
そしてなんといっても
極 上 の イ ー グ ル
このイーグルで落とされた人数知れず、初の国際大会80点超え!一生ついていくと決めたSPでした。
Writing's on the wallはこのJGP横浜でヴィンス落ちしたというヴィンスクラスタスケーター志賀海門くんがリスペクトプロとして使用した事も(リンク先に動画あり)
https://twitter.com/mina_skater/status/845296165209829377?s=21
自分で振り付けたという所にファン魂を感じます、同じ所でイーグルを入れる素晴らしいこだわり様。いつか一緒に滑ってみてほしいですね。
〈FS〉
流石にローカルコンペとは動きが格段に違いますね、腕づかいがしなやか。Golden Westもそうでしたが髪を後ろに撫で付ける振り付けが煙草をぽいっと捨てる様な振り付けに変わってますね(会場内は全席禁煙です!)
4Sの回転不足がネックなのでそれ以外でのジャンプミスや取りこぼしが痛い(3LoもURでした)しかし3Lz-1Lo-3Sの音ハメは美しかった。SP・FS共にPBで2位。
初のJGPで美麗4Sと2本の3Aを決めて優勝したジュンファンの勢いは凄まじかったです、この後も1-1でファイナルに進んで銅メダルを獲るとは。この大会は私がエロホフくんの存在を初めて知った大会でもありました、イタリアのダニエルくんやイスラエルのマークくんもいたり豪華メンバー…観に行けなかったの後々後悔するだろうなと思ってましたがほんと観返す度後悔します(泣)行きたかった!
【JGPタリン】
衝撃の再演
〈SP〉
マイナスのない綺麗なプロトコル…と見せかけてTime Violation-1.00。80点以上出してSPでもう少し差を付けておきたかったかもしれませんがそれでも質の高い演技、控えめにガッツポーズ。PCSがちょっとずつ上がっていくのを見ると嬉しくなります。
〈FS〉
このJGPタリンの少し前にインスタグラムでの更新があり、内容は「プログラムの手直しをした」という事でした。
スタートポジションについた時の表情がJGP横浜とは違って真剣な面持ち。緊張なのか、それとも手直ししたから冒頭部分が少し変わっているのか…などとぐるぐる思考が巡りましたが音楽が鳴り始めたその瞬間思考は停止しました。
“Skating to well known piece here…Casablanca.”
一体何が起こったのか……
始めから終わりまで混乱しっぱなしです。プログラムを手直しするとは言ってましたがまさかプログラム丸々変わっててしかもあのカサブランカだなんて聞いてなi……ってよくよくインスタの投稿写真を見たらもろカサブランカのフィニッシュポーズでしたね、以前のものと全く同じなのに全く気付きませんでしたね完全にやられましたはい。動画で何回観たか分からないあの素晴らしいカサブランカを今現在の彼がリアルタイムで演じているという考えてもみなかった光景。
JGP横浜から帰国しすぐさま新FSの振り付け→その後ソルトレイクに向かいプログラムを仕上げ再びCAへ戻る→ボストンオープンで新FSの具合を確認した後タリンへ…というスケジュールだったそうですがたった二週間と少しの間にそんなハードな事をこなしていたんですね……過去に演じた事があるとはいえクワド等を入れた今のJr用プログラムに昇華させるのは大変な事だったでしょう、JGP横浜の前にもコンペ出てますしちょっと心配になるぐらいのハードワーカー。ボストンオープンでは4Lzにも挑戦していたみたいですね、二週間ほど前に「このFSの冒頭3Lzも近い内に4Lzに変わるのかー(怯)」とか言ってましたが実戦投入が早い早過ぎる、脳味噌ついていきません。
と、三年越しカサブランカ再演の衝撃があまりにも大き過ぎたのですが演技内容も色々とショッキング。冒頭3Lzは美しく決まりましたがその後の4Sでスリップ、回転せずに腹と顔を氷に打ち付ける転倒、ダメージがかなりあったのか3Aでも転倒しどこか力が入ってない様子。しかし後半に4Sリカバリを試みるガッツは凄まじいというかなんというか……As time goes byの部分では笑顔も見せていてしっかり最後まで演じ切ろうとしていましたね。StSqはレベル4、2016-17シーズンのJrの中でトップのGOEでした。
SP1位FS3位で総合3位、昨季はいつも惜しい所で優勝や表彰台を逃してしまっていましたからJGP2年目にかける思いの強さはどの試合でもひしひしと感じました。残念ながらファイナルを逃す結果となってはしまいましたが昨季を含めるとJGPSは4戦表彰台、上位であり続けるというのはそう簡単な事ではありません。彼ならこの経験と悔しさを糧に強くなってくれる筈だと信じて2013全米のカサブランカをヘビロテする私なのでありました。
3-②へ続く